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統一特許裁判所(UPC) のキックオフ
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統一特許裁判所(UPC) のキックオフ

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翻訳 : 竹下敦也

This article is also available in English.

2013年に調印された統一特許裁判所(UPC)協定は、欧州全体の特許法にとって画期的なものである。

UPC協定の規定は、オーストリアが2015年10月に署名した仮出願に関する議定書(PPA)の批准書を寄託したことを受けて、2022年1月19日に欧州13カ国で暫定適用を開始した。

現在開始されている暫定適用期間(PAP)の間、少なくとも8カ月間続くと予想されるUPCの運営委員会、諮問委員会、予算委員会は、準備委員会とともに、新しい裁判所制度の実務的な組織を整え、裁判官を採用するために走り始める予定である。

UPC協定自体は、ドイツが批准書を寄託してから4ヶ月目の初日に発効するが、これはドイツ政府がUPCが機能することを確認した後に行われる。PAPの間に発生すべき作業を考慮すると、この寄託は2022年の夏中と予想される。

したがって、裁判所は2022年末から2023年初め頃に訴訟の受付を開始すると予想される。

その時点で、UPC協定を批准している欧州諸国は、EU規則第1257/2012号に基づいて単一特許による保護を受けることができるようになる。

現在、17の欧州諸国がUPC協定を批准している。オーストリア、ベルギー、ブルガリア、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、イタリア、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルグ、マルタ、オランダ、ポルトガル、スロベニア、スウェーデンの17カ国である。

キプロス、チェコ共和国、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、ルーマニア、スロバキアはUPC協定に署名したが、今のところ批准していない(ただし、ギリシャ、ハンガリー、ルーマニアはPPAを批准している)。

クロアチア、ポーランド、スペインは UPC 協定に署名していない。
英国は同協定に署名・批准したが、Brexitを受けて離脱した。

特許権者は、UPCの発効から7年間の経過措置期間、さらに発効前の3ヶ月間の「サンライズ期間」に、UPCの専属管轄から適用除外(Opt-Out)することができる。Opt-Outする場合、個々の特許または出願について裁判所の登記官に申告する必要がある。

UPC及びOpt-Outに関して、当所Plasseraud IPは、2022年の間、欧州特許ポートフォリオ管理に関する戦略を顧客へ提供していく。

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